- 下手ギターチームは、皆さん顔見知りですか?
- 一同
- はい。
- 九条武政(以下、武政)
- なので、このイベントは楽しい毎日になると思います。正直、もっと本数あっても良かったと思うんですよ。
- 海
- 今回、7本あるじゃないですか。それを知って、もう10本あっても良かったなとか言ってるんですよ。7本に対してもう10本って何だよって。
- 武政
- ちょっとvistlip、口が悪い!
- まぁまぁ(笑)。
- 海
- 今、己龍って47都道府県ワンマンツアー中なんですよ。だから、これだけの本数があっても余裕なんだな、すげぇなとは思いましたけどね。
- 武政
- あはは(笑)。確かに、イベントとしては本数多いですよね。
- そもそも、このイベントのきっかけを作ったのが、BugLugとvistlipだそうで。
- 海
- そうですね。たまたま、博多でお互いにライヴが重なっていて。そのとき、僕と智がスタッフと一緒にご飯食べてたんですけど、同時に一聖と瑠伊が別でご飯してたんですね。別だったにも関わらず、ホテルに戻ってきた時間が一緒で(笑)。それで、もう一件行こうよって話になり、そこで智と一聖が色々と話した結果、このイベントの話が持ち上がったという。前々から一緒にライヴやりたいねっていう話はしていたんですけど、この業界、そういった話って出てきても社交辞令で終わってしまうことが多くて。だけど、それで終わらせたくないって思ったんですよね。その為には、他人任せにするんじゃなく、自分たちで動いていこうってことになったんです。ただ、この話が出たのって1年ぐらい前なんですよ。
- そんな前から企画されていたのですね。
- 海
- だから、やっと実現するのかっていう感覚ではありますね。
- イベントの話が持ち上がったことを、優さんはどのタイミングで一聖さんから聞いたのですか?
- 優
- vistlipが決まったっていうとこからですね。それで、ここには絶対にR指定と己龍が必要だって思って、一聖にすぐに電話してって言いましたね。俺ですか? 俺はそれを横で見ながらひたすら応援してました。
- 武政
- 何だろう、直接何かしたわけじゃないのに、すごい男らしい(笑)。
- 楓
- 言い方でしょ(笑)。
- 優
- うん。俺、何もしてないですからね。やったことと言えば、「頑張れ!頑張れ!」って一聖に言ったぐらい(笑)。
- 海
- でも、メンバーの後押しってけっこう大事なんですよ。それこそ、こういう企画が持ち上がってるって話して、「ちょっとなぁ…」って渋られたらそれまでだし。後押しをしてもらえることによって、「よし!動かなきゃ!」っていう気持ちになれるんで。それで、一聖からマモくんに連絡を取ってもらって。
- 楓
- その話はマモからちらっと聞いてはいたんですけど、本当に実現するのかなって思いましたね。さっき言っていたように、社交辞令で終わるのかなっていうのもあったし、時期的にも、全バンドのスケジュールが合うのかなって。
- 皆さん、お忙しいですからね。
- 楓
- でも、どんどん話が進んでいって、実際にやるってことになったとき、「マジか!」と思って、めっちゃワクワクしましたね。
- 武政
- 己龍は、1番最後に誘われたんですよ。マモから自分のところに電話がかかってきたんですけど、既に3バンドが集まっていてこういうことを考えているからって。
- さすがに、これで断ったら悪者になってしまいます。
- 楓
- 武道館でライヴやる人は違いますよね~って(笑)。
- 武政
- ひどい(笑)。でも、元々こういうのやりたいなっていうのが自分の頭の中にはあったので、誘われたときは絶対に出たいって思ったし、むしろ、出なきゃって。だから、行動を起こしてくれたBugLugとvistlipには感謝しかないですね。きっと、僕ら発信だったらこの企画は実現していないと思うんですよ。
- そんなことはないと思いますよ。九条さんが海さんに電話しても、海さんは快く引き受けてくれますよね?
- 海
- いや、そもそも、番号知らないですからね。
- あら。では、これを機に交換してみては?
- 海
- まぁ、考えてみてもいいですけど。
- 武政
- してよ(笑)。
- 良い関係性です(笑)。
- 海
- ここにいる中では、1番知っているのが九条さんなんですよ。逆に、あまり話したことないのが、優くんと楓くん。
- 楓
- 意外と、そこまでガッツリと話す機会がなくて。
- 海
- ライヴは、けっこう前から見たことあるんですけどね。だけど、会話するまでにはそれから4年ぐらいかかりましたね。タイミングもそうなんですけど、当時のR指定って怖いイメージがあって話しかけにくかったんですよね。
- 楓
- 俺からしたら、vistlipさんもそんな感じでしたよ。売れてるバンドは違うなぁ、俺らなんか相手にしてくれないんだろうなぁって。
- 海
- いやいやいや(笑)。やっぱり、気が合うかそうでないかっていうのは話してみないと分からないじゃないですか。それこそ、イベントとかで一緒になってもメイクやリハでお互いにバタバタしているから、忙しいときに話かけても悪いなと思って、会話せずに終わることが多いんですよ。
- 楓
- そうですね。でも、うちのバンドはフランクなので、いつ話しかけられても大丈夫です。特に、俺と宏崇はバンド内での愉快担当なので(笑)。
- 武政
- ライヴでも、マモからいじられてるしね(笑)。
- 海
- てっきり、王子様的なキャラかと思ってました。
- 楓
- 俺自身は、未だにそう思ってるんですけどね。アーティストは、ステージ上ではクール、それでいて私生活は謎っていうのが、俺の中での理想ですから。ところが、いつの間にか愉快担当に(笑)。
- メンバーとファンからの期待に応えた結果、こうなったと(笑)。
- 海
- そうだったんですか(笑)。R指定の中で最後に会話したのが楓くんでしたね。その前にZからは、話したら絶対に気が合うからって言われていて。それでライヴの打ち上げか何かで話をしたんですけど、未だにミステリアスな人物ではありますね。
- 楓
- あら。じゃあ、今からミステリアスなキャラでいってもいいですか?
- 今さらな感じが(笑)。でも、そんなことを言ったら、優さんはミステリアスなキャラだと思いますよ。昔から今まで、王子様キャラなイメージがあります。
- 優
- えっ、おじいさんキャラ?
- 一同
- あはははは(笑)。
- 優
- あ、王子様って言ったんですか。いや、そんなことはないです(笑)。というか、究極に人見知りなんですよ、俺。だから、みんなと話したいんですけど、どうやって話していいのか……。
- BugLugは、メンバー全員が人見知りだと伺いました。
- 優
- そうなんですよ。俺の場合、何とか人に話しかけようと思うんですけど、本能が強いんですよね。きっと、前世ですごい殺され方をしたから相手のことが信用できないんだと思います。
- 海
- どれだけ(笑)。
- 優
- でも、せっかくの機会なので、積極的に話したいと思います。
- 優さんは野球がお好きでいらっしゃいますよね。この中で、野球好きな方は?
- 海
- 誰もいないし、1番最悪なパスを投げましたね(笑)。
- あぁ……、良かれと思ったことが裏目に出ました(苦笑)。
- 海
- そういえば、さっき、取材が始まる前に優くんに会ったので、「今から一緒ですね」って話そうと思った瞬間、どこかに行かれました(笑)。
- 優
- いや、何か、何人かで集まって話されていたので、そこに俺がいきなり行って、「今日は忙しいですね」なんて言っても返してくれないだろうなぁって……。
- 武政
- そういうところから会話すればいいのに。
- 優
- ついつい、自分の頭の中でシュミレーションをしてしまうんですよね。その結果、かける言葉が見つからないという。
- 九条さんがおっしゃったように、きっかけは何でもいいのでは?
- 優
- たとえば、「今日は1日、取材で長丁場になりますが、わざわざうちの事務所に来ていただいてありがとうございます」って言ったとして、「……何こいつ、偉そうだな」って思われたら嫌じゃないですか。
- 武政
- そんなこと思わないよ。優くんは気遣いさんなんだね。
- 優
- ほんとですか? 陰で悪口言わないですか?
- 海
- 言わないから(笑)。言うとしたら、俺は面と向かって言うタイプだし。
- 武政
- あぁ、僕もそう。面と向かって言う。
- 優
- それなら良かったです。
- 海
- 優くんとは、前のバンドをやっていたときから顔見知りではあるんですけど、ちゃんとした会話をしたことがなかったんですよね。以前、BugLugとスリーマンをやったときに、雑誌社の人から改めて紹介されて。俺、BugLugは一聖としかちゃんと話したことなかったので、優くんと話すのはそれが初めてになったのかな。
- 優
- ライヴが終わって中打ちのときだったんですけど、俺、緊張のあまり、缶ビールを一気に開けましたからね(笑)。だから、九条さんってすごいなと思うんですよ。どんな人とでも友達になれるじゃないですか?
- 武政
- 何か、嫌われてもいいから相手の懐に入ろうとするんですよ、僕は。だから、悪口を言われるのも恐れないというか。
- 優
- なるほど、強くならないとダメということですね。ほんと、九条さんってすごいんですよ、楽屋にいてもサッとドアを開けてくれて「最近どう?」って聞いてくれるんです。あれを見て、BugLugも社交的になった方がいいっていうことになったんですよ。メンバー間は大丈夫なんですけどね、どうも外となると。
- 海
- ただ、メンバー間の繋がりが強すぎると、外を受け入れづらくなるというか。そこはうちもそうだからすごく分かる。さっきまで大騒ぎしていたくせに、知らない人が楽屋に入ってきた途端、シーンって。今回のイベントにあたっての対談も、うちのメンバーは「どうしていいか分からない」って言ってましたからね(笑)。
- この対談をやることによって、その後のイベントも円滑に進めばいいなと思っているのですが。
- 武政
- やっぱり変わりますよね、仲が良いと。このチームはけっこう楽しく出来るんじゃないかなって僕は思ってます。まぁ、でも、うちのメンバーも人見知りといえばそうですね。仲が良くなるまでは内向的になってしまうので。
- 海
- パートにもよると思うんですよ。1番心配なのはベース対談。うちは瑠伊が人見知りだから。それこそ、録音したものを聞かせてもらいたいぐらい心配(笑)。
- 武政
- あぁ、ベース会、気になる(笑)。
- そこは、これからアップされる記事をご期待下さい(笑)。さて、皆さんと言えば、“次世代の四天王”と呼び声が高いわけですよ。そこに関してはどう受け止めているのかなと。
- 武政
- そう、僕ら四天王なんですよ。僕らがインディーズ・ヴィジュアルシーンを支えているんです。
- 海
- 武道館アーティストが言うと、何か説得力あるなぁ(笑)。
- 武政
- ちょっと、「(笑)」って入れて書いて下さいよ、今のところ。
- でも、4バンドが一丸とならなければ、このイベントの成功は無いですからね。
- 海
- もちろん、そこはイーブンで考えているので。みんな良いバンドだし、全部、質が違うと思うんですよ。元々、声をかけたときも、そうだからこそかけたのであって。だから、4つのバンドが1つになったときにちゃんとバランスが取れないといけないなって思うんですよ。それだけに、負けないように頑張ろうかなと。
- 海さんから見て、vistlipが他のバンドに負けないところって何ですか?
- 海
- うちのバンドの良さって一言では表わせないんですよ。だから、よく、とりあえず見てくれって言ってるんですよね。それで、考えてくれって。それだけ、何でもやるバンドなんです。基本、ルールっていうものが存在しない。これはやらないっていうのが無い代わりに、これは絶対にするっていうのも無い。だから、他のバンドと違って色々な武器が使えるっていうのが、強みかもしれないですね。あとは、「表現の仕方が難しいけど特殊な空気を持っているバンドだよね、vistlipは」って言われることが多いので、そこも強みだと思います。ほんと、好きに見てくれればいいかなと。
- 自由という点では、BugLugも共通した部分はあるのではないでしょうか?
- 優
- まぁ、そうですね。何でもやっていこうという中に、変なことを多く取り込んでいるので。vistlipは正統派なイメージがあるんですけど、僕らは変化球よりというか。こういうのをやったら面白いよね、というところから曲を作っているので、変化球に特化しているんだと思います。さっき、海さんが一言でバンドの良さを表現出来ないって言っていたじゃないですか。あれはBugLugも一緒で。「どんなバンドなの?」って訊かれても、見てくれっていう感じなんですよね。それで思ってくれたままで良いよって。ただ、そう思えたのは、ここ1年ぐらいのことですね。今は、振り幅を自分たちでどこまで作るか、これはBugLug的に有りだよね、無しだよねって考えながら、自分たちの色を年数かけて作っている最中なのかなって。だから、BugLugは今しか無いし、その変化を楽しんで見てもらえればなと思います。
- 対照的に、己龍はコンセプトありきのバンドと言えますよね?
- 武政
- 僕たちのバンドは和風です。ものすごく片寄っています(笑)。
- そこが良いところです。
- 武政
- やっていて気持ち良いですし、やりやすいですね。僕は、この4バンド、みんな異色だと思うんですよ。vistlipも正統派っていうイメージはあるにせよ、4バンドの中では異色ですからね。
- 海
- 基本コンセプトが、他がやっていないことをやろうだからね(笑)。
- 武政
- あと、BugLugは普通に好きなんですよ。曲でいうと「Ms.アリゲイター」が好き。メンバーさんから直接CDもらったこともあるんですけど、それ以前に僕は買ってましたからね。
- さすが、自他共に認める、ギャ男(ヴィジュアル系バンドが好きな男性のこと)だけあって。
- 武政
- そうです(笑)。
- 優
- めっちゃ嬉しいです、それ。
- 武政
- 好きなバンドのCDは自分で買いたいじゃないですか。それこそ、BugLugは結成当初から聴いていたので、今回の企画が持ち上がったとき、実は嬉しかったんです。それと、R指定とはツーマンライヴをやるとかで絡む機会が多いので、CDが発売したらもらえるシステムになってるんですよね。
- 楓
- いつも、聴いて下さいって言って渡してます。
- 武政
- でも、新作の「スーサイドメモリーズ」はまだもらってないです。
- 楓
- 後で渡します(笑)。
- こういったやり取りって良いですね。
- 海
- 俺、この人(武政)の怖いところってそこだと思うんですよ。バンドの為にとか、シーンを見たいからっていう目的じゃなくて、ただ単に自分の興味で他のバンドの曲を聴けるという。昔から探求心が変わっていないんでしょうね。だから、己龍って和風に特化したバンドとは言え、その中での振り幅が広いんだろうなって。「九尾」のPVをCMで見たときに、メロディラインがすごいなと思って。何か、そういう意味では恐ろしいなと。自分の引き出しの中に物を入れる吸収力が本当にすごい。
- そこはやはり、ヴィジュアル系を好きという気持ちが強いからなのでしょうね。
- 武政
- そうですね。僕は、すべての音楽ジャンルの中でヴィジュアル系が1番好き。ぶっちゃけ、ほとんどヴィジュアル系しか聴いてないですからね。
- では、自分がリスナーだとしたら、己龍のどんなところに魅力を感じますか?
- 武政
- 期待に応えてくれるところですかね。僕としても、応援のしがいがあるバンドをやりたいなと思っているので、ガッカリさせるようなことはしたくないっていうのは自分の中で決めていて。
- そういった部分では、楓さんのたくましいエンターテインメント性と共通しているかもしれません。
- 武政
- そう、多分、同じこと。
- 楓
- 九条さんのかっこよさって、ギャ男だからっていうのもこうした場でさらっと言ってしまうことなんですよね。本来なら隠したくなることじゃないですか。でも、それを公表した上でファンに付いてこいよって言えるのって武器だなって思いますね。それこそ、今、皆さんが言ったように、何でも出来るっていうのはそれぞれのバンドの武器だなと思うんです。だから、R指定の武器と言うと、現代の若い子に共感してもらえる歌詞や曲を全面に押し出しているところですかね。そこは他のバンドとは違う気がしますし、またライヴではガチャガチャにやっているので、そういった部分も良いのかなと思います。
- この4バンドなら、ヴィジュアルシーンを活性化出来そうです。というよりも、活性化しなくてはいけない使命を背負った4バンドなのかもしれませんね。
- 海
- そうですよね、四天王と言ったからには。
- 武政
- イベントでは、まだ何をやるかっていうのは決めてないけど、その場その場で楽しいことやれたらいいなぁって。
- 楓
- あ、それ良いね。
- 優
- せっかくだから、普通に終わらせるっていうのはつまらないですよね。
- 海
- その場の勢いでいいよね。そうした方が、出演者にとっても気の抜けないイベントになるんじゃないかなって思うし。何か、もったいないって思う時間を作りたくないんですよね。だから、来てくれるファンには全バンドを見てほしいし、見た上で評価してもらいたいなって。と、ここまで言いましたけど、もしも何もやらなかったら、九条さんの責任でお願いします(笑)。
- 武政
- 嫌な流れだな(笑)。
- 良いイベントになることを期待していますよ(笑)。ということで、皆さん、今日はありがとうございました。
取材・文●水谷エリ