INTERVIEW

酒井 参輝(己龍) x 一樹(BugLug) x Z(R指定) x Yuh(vistlip)

 
 
4バンド揃ってのイベント【均整を乱す抗うは四拍子】が、ついに開催されます。
一樹
対バンをやった時に他のバンドさんのライヴを観させていただいたんですけど、皆さん本当に個性的なので、今回この枠にBugLugが入っている事がびっくりな反面、とても嬉しいです。Zさんは対バンで会うとすごく気さくに話しかけてくれるんですよ。あと、俺は事前に皆さんのブログを読んできたんですけど、Zさんはブログだと音楽の事とか熱い事が書いてあるので、そこがライヴで見せるキャラクターとのギャップがあってやられました。
ありがとう(笑)。俺はこの中では1番年上になるんですけど、業界歴でいうと、下手したら1番短いかも。
一樹
そうなんですね。
そうです、そうです。だから、キャリアだけで見ると皆さんの方が上なので、勉強する事ばっかりですね。ライヴ観ていてもそうですけど、全員とも音のこだわりがすごいなって。俺のこだわりっていうと、やっぱりギターの位置が高いっていうとこですかね(笑)。
ずば抜けていますからね(笑)。R指定は己龍と対バンをやる機会が多いですよね。Zさんから見て、参輝さんの良いところってどこですか?
キャラでしょうね。ライヴを観ていてもキャラがすごく立っているんですよ。曲に合わせての動きも洗練されているし。あとは、メインで作曲をしているところですね。何曲書いているんだろう、すごいなって思います。
酒井参輝(以下、参輝)
この間数えたんですよ。うち、全部で90曲以上あって。その中で僕が作曲しているのは80曲ぐらいかな。
“和製ホラー”という難しいバンドコンセプトを立てながら、よくそこまで多く書けましたね?
参輝
でも、もっと曲をたくさん書いている人もいるしなぁって思うと、まだまだかなって(笑)。だから、僕が自慢出来るのは芸歴ぐらいですかね。僕、今15年目ぐらいなので。
生粋のヴィジュアルっ子ですものね。
参輝
逆を言えば、僕はそれしか音楽を聴いてないんですよ。だから、引き出しは少ないのかもしれない。そう思うと、似たような曲が出来てしまうのが怖いんですよね。良いメロやアレンジが浮かんだと思っても、大体は自分たちの曲なので(笑)。
では、一樹さんから見て、Yuhさんはどんなギタリストという印象を?
一樹
あ、ブログで得た情報ですか? えっとですね…。
Yuh
それが、しばらくブログ更新してないんですよ、俺。すいませんサボりがちで(笑)。
ご自身から見て、自慢出来るところというのは?
Yuh
機材の量ですかね。
一樹
めっちゃ多いですもんね。
Yuh
何か、冷蔵庫みたいなのが好きなんです(笑)。だから、古き良き時代の人たちと似たようなセットを背負ってるんですよね。
となると、このイベントでも?
Yuh
皆さんの機材のお邪魔にならない程度に。
欲しいもの1個ずつもらっていけばいいですよね(笑)。
一樹
あはは(笑)。でも、みんな本当にかっこいいし、ギターがすごくうまいんですよね。それがずるい!
一樹さんだってそうなのでは?
一樹
いやいや、そんな事ないです。
この前すごい事言っとったやん。
一樹
そんな事ないですよ(笑)。
ギターがうまい。パフォーマンスがかっこいい。それ以外に共通点を挙げるとすると、何でしょう?
参輝
上手ギター。
Yuh
絶対に言うと思った!
参輝
だって、他に言うことないじゃないですか(笑)。他に何かあります?
Yuh
バンドの個性がそれぞれに違うので、そこで共通点を見つけるのって難しいですよね。だから、見つからない事が逆に良いんじゃないですか。
確かに。上手ギターといいますと、自我が強いというイメージがありますけど、皆さんの場合どうなのでしょう?
参輝
うちはメンバー全員が我が強いので、よくイベントとかでセッションとかあると大抵嫌われます。誰1人として主催を立たせようとしないので(笑)。
もしや、このイベントも荒らしてやろうとお考えですか?
参輝
そうですね。何かしようかなとは企んでます。それで、何が出来るかなと思って考えてみたんですけど、Zくんのステージドリンクを焼酎に変えるぐらいかなと。
危ない(笑)。
一樹
逆に良いライヴしちゃったりして(笑)。
参輝
ただ、僕、R指定以外にちゃんとライヴを観た事が無いんですよ。イベントで一緒になっても環境によってライヴが観られない事ってあるじゃないですか。そういうので観られてないので、今は誰かどうこうっていうのが分からないんですよね。そこはイベントをやっていくうちに変わっていくのかなって思いますけど。
そんな参輝さんに一樹さんから、BugLugの良いところを教えて上げて下さい。
一樹
BugLugはこうだっていうのが無いんですよ。常に自分たちの中のブームを音にしているっていう感じなので、一貫性があるようでないかもしれないですね。大きくコンセプトを決めて自分たちを制限してしまうのがもったいないなっていう感じなので、逆に皆さんはコンセプトをしっかりとしているイメージが強いので、そこはかっこいいなと思います。
自由さを追求しているという点ではvistlipと似ていますね。
Yuh
バンドを紹介しろって言われたら、一樹くんが言った事とまったく一緒の事になります。だから、今言われちゃったなと思って(笑)。ただ、やりたいものにミクスチャーロックが入っているっていうのはバンドの芯としてあるんですよね。あとはラップなり2MCなり。そこはうち特有なのかなって。
参輝
なるほど。ところで、2MCって何ですか?
2人で一緒に歌う、もしくは掛け合いをする事でいいでしょうか。
Yuh
そんな感じです。
参輝
あぁ。僕はライヴにマイクを取っても「ヴォイ!」しか言うことないので。
シャウト専門と。
参輝
僕の仕事はそうですね(笑)。
Zさんもライヴ中にマイクを持つ事ありますよね?
ありますけど、うちはvistlipほどではないですね(笑)。とりあえず、うちも自由にっていうのは外さないんですけど、何年おきかにコンセプトが変わっているんですよ。だけど、その中にR指定の要素を入れるっていう。
現在のコンセプトといいますと?
今は、“death”か“闇”ですね。だからと言って行きすぎない。昔の嫌な思い出を歌詞で表現しているというか。
アングラよりになってもファンから支持されるというのはすごいと思いますよ。しかし、自由といってもバンドによってこれだけ表現方法が違うんですね。
そうですね。だから、ライヴを観ていても、違うところでの自由さがあるなと思います。
そうなると、コンセプトありきで活動している己龍は、どういった時に大変さを感じるのでしょう?
参輝
大変と思う事は割とないんですよ。Zくんが言ったように、自分たちの要素を入れたら自分たちのジャンルになるので。今やっている「九尾」にしても、僕がメタルを作りたかったっていうところから始まって、そこに和楽器を入れたら己龍になったということで。そもそも、ヴィジュアル系ってジャンルフリーだと思うんです。だから、音楽のジャンルがどうのこうのって言うよりは、らしさが出ていればそれで良いのかなって。
納得です。最近ではヴィジュアル系も以前と比べて随分と盛り上がってきました。しかし、まだ世間からは色眼鏡で見られているのも事実です。ヴィジュアル系音楽を愛する参輝さんとしては、この現状をどのように捉えていますか?
参輝
色眼鏡で見られてもいいんじゃないですかね。だって、元々、ヴィジュアル系をやっている人たちがお茶の間に受けようと思って音楽をやったとは思えないんです。うちは見た目もこんな感じだし、曲調もああいう感じなので、お茶の間受けは狙っていないんですよね。それこそ、色眼鏡で見られても構わない。非一般的と言われるかもしれないけど、逆にそういった非一般的なものが好きな人って世の中に溢れていると思うので、そこをターゲットにしようという気持ちはありますね。
なるほど。確かに、このアー写を見て、己龍はお茶の間受けするヴィジュアルだなとは誰も思いません。
参輝
そうですね。だから、なかなか受容が来ないです(笑)。要求されたら僕らはいつでも応えるんですけどね。月9のタイアップでも何でもしますよ。
うーん、月9はちょっと似合わないような気が(笑)。
参輝
『妖怪ウォッチ』からはそろそろきても良いと思ってるんですけど(笑)。
vistlipはお茶の間受けしそうですけど。
Yuh
そうですね、僕らはお茶の間受けしたい人たちなので割と何でもやれると思います。ただ、音楽を変えてっていうのは受け入れられないですけど。それ以外なら、バラエティでも大丈夫です。とにかくテレビに出たい。
一樹
出たい、出たい。
正直だな(笑)。
Yuh
やっぱ、皆さんそうだと思うんですけど、自分たちの音楽を多くの人に知ってもらいたいし、聴いてもらいたいたいじゃないですか。うちは音楽の芯を変える事はないですけど、そういう考えですね。
一樹
今、お話伺って一緒だと思いました。
Yuh
シンクロ率高いですね(笑)。
一樹
やっぱり、音楽ってジャンルレスだと思うんです。だから、聴く人を選ばないと思っていて。それだけに、ヴィジュアル系を好きな人も、そうでない人からも好かれたいなと思いますね。まぁ、自分の理想なのかもしれないけど。
いえ、正しいと思いますよ。そもそも、一樹さんはヴィジュアル系音楽がテレビで流れていたのを聴いて好きになったとか?
一樹
そうですね。ヴィジュアル系ムーブメントっていうのも当時あったと思うんですけど、だからこそ、このイベントでそのムーブメントに火を付けられると思っていて。だから、出来る事はみんなで協力して何でもやっていけたらなというのはあります。
でも、名前からしてお茶の間からNGが出てしまいそうなバンドが1組。
えっ、R指定ですか? テレビには出たいですよ、うちだって。とは言え、過去に何度、曲のタイトルだけでNGをくらったことか(笑)。
一樹
あぁ、そう思うと最近は本当に厳しいですよね。
うちは歌詞がダメなんですよ。
でも、そういった現状を変えてやろうという意志はあるんですよね?
やることはやろうかなと。魅力があると思うから、このシーンでやっているんだと思います。
皆さんは“次世代の四天王”と呼ばれているぐらいですから、そこは全員で協力してこのシーンを変えていただきたいものです。
参輝
ちなみに、前世代は誰ですか?
それが、遡ってみるとかなり前だと思うんです。それこそ、先ほど一樹さんがおっしゃっていたようにヴィジュアル系ムーブメントが到来したのって、今から15年以上前になりますから。
参輝
なるほど。って、四天王って、うちの武政が勝手に言ってるのかと思いましたよ。あいつ、勝手に今回のイベントを四天王ツアーって呼んでますからね(笑)。でも、そうやって四天王って言ってもらえるのはおこがましいなと思います。
己龍は、今や武道館アーティストではないですか。
参輝
それすらもおこがましいです。だって、僕らが大々的に四天王ですって言ったらおかしいじゃないですか。もちろん、自ら言っていくつもりもないし。だから、もっと腰低くやっていきたいなぁって(笑)。当然、僕らは僕らで、言い方は変かもしれないけど、好き勝手にやりたい事をやっているだけで。で、そんな僕らのやりたい事に賛同して応援してくれている人がたくさん集まって、よりバカな事が出来るっていうだけの話じゃないですか。だから、僕らなんてそんな偉いものじゃないです。
何て謙虚な。
Yuh
4バンドが集まった事に対してそうやって言ってもらえた事は嬉しいんですけど、皆さん、自分たちのバンドが1番良いって思って活動していると思うんです。でも、俺らよりも良いバンドなんてヴィジュアル系に限らずいっぱいいると思うから、そこで四天王って自分たちから言うのは何か違うのかなって俺は正直思うんですよ。
誰が言い出したんですか、四天王って。
参輝
すいません、うちの武政です。
一同
あはははは(笑)。
でも、嬉しいっちゃ嬉しいですよ、四天王って言ってもらえて。バンドを代表するわけですから。こうやって呼ばれるまでに長かったなぁとか考えると(笑)。
動員が少ない時代もありましたからね。
それはもう、うちだけじゃないですよ。
参輝
みんなそうですよね。
そういう時代も経験しているので、シーンを引っ張っているって言われると素直に嬉しいです。もちろん、ここにはプレッシャーもあると思うんです。だからこそ、絶対に外せないなっていうのもあるし。多分みんなそう思っているから、良いイベントになるだろうなっていうのはありますね。
一樹
皆さんがおっしゃったとおりなんですけど、四天王になりたいと思ってなれるわけではないじゃないですか。九条さんが発信したのかもしれないけど(笑)、四天王という扱いを周りからされる事によって、プレッシャーもかかってバンドを高めていかないとなって思うんです。己龍さんは逸早く武道館でライヴをやりますけど、俺たちだってやりたいし、それなら四天王よりももっと上のところに行きたいので、ステップとしてかっこよく四天王になろうっていう気持ちはありますね。
以前から、目標は東京ドームですものね?
一樹
当たり前ですよ。何なら、このイベントのファイナルも武道館にすれば良かったじゃないですか。そうしたら四天王って言えるのに。
Yuh
確かに。
一樹
でも、1年先の事も分からない時代じゃないですか。だから、こうやって4バンドが奇跡のスケジュールで集まれたっていうのは本当に嬉しいですね。
正直、忙しい皆さんがよくOKを出したなと。
参輝
けっこうバカですよね。僕ら、今年休み無いですもん(笑)。でも、「こういうお話がありますけど、どうしますか?」ってもらった時に、やろうって思いましたからね。僕らって、ワンマン中心でイベントってあまり出演しないんですよ。だけど、うちは武政以外に友達がほぼいないので、横の繋がりというか、他のバンドを知っておく必要があるなと思ったんですよね。まぁ、良いと思うものがあったらどんどんパクッてやろうかなと。
言い方が(笑)。
参輝
インスパイアとオマージュでやらせていただきます。
ついでに、リスペクトも加えておきますか。
参輝
そうですね(笑)。って、まぁ、それは冗談としても、やって身にならない事は何もならないなと思ったので、やりたいなと思ったし、実際にやる会場を見ても、僕らだったら全箇所ソールドアウト出来るなと思ったので、その景色を見たいなと思ったんですよね。
是非観させて下さい、どこもソールドアウトした景色を。それにしても、参輝さんは先ほど友達がほぼいないとおっしゃっていましたけど、この機会に増やせるのではないでしょうか?
参輝
と思いますよね。ただ、僕、お酒が飲めないんです。
一樹
俺もあんまり飲まないです。
Yuh
俺も飲めないので大丈夫ですよ。あ、でも、初対面だったのに、あの人にすごく飲まされた覚えがあります。
誰でしょうね。
Yuh
あなたですけど(笑)。
参輝
Zくん、お酒が入ると説教始まるんで。
すいません。
参輝
でも、どこかしらでみんなでご飯に行く事はあるんじゃないですかね。
一樹
このチームで行きましょうよ。僕は是非、皆さんに仲良くしてもらいたいです!
俺がお酒入ってひどくなったら、うちのメンバーの誰かとチェンジしてもらって構わないので(笑)。
オフもライヴも良くなりそうですね。
一樹
はい。シーンの活性化含め、自分たちのレベルアップに繋がるツアーになると思います。
参輝
僕はみんなで何かやるっていうのが好きなので、セッションでも何でもやるのなら対応しますよ。それこそ、曲書けって言われたら作りますし。
一樹
えっ、このイベント用に作ってくれるんですか?
参輝
やれって言われたら。たとえばこのチームで曲を作るとなったら、作曲する人、作詞をする人、編曲をする人、歌う人に担当を分けて、出来た曲は転換のBGMとして使うっていう。
そんなの流したら、俺らが辱めを受けるだけじゃないか(笑)。しかも、その後に絶対演奏したくないわー。
Yuh
本当に(笑)。
実現したら面白いですけど(笑)。では最後に、このイベントに対する意気込みを順番にお願いします。
一樹
個人的にはバンド同士で高め合うっていう事を目標としているので、1つのイベントを4バンドで作って楽しくやりたいですね。
Yuh
ヴィジュアル系の友達っていうのがそんなにいなかったので、このイベントを通してみんなと友達になりたいし、ライヴでは闘争心を剥き出しにかかっていきたいなって。それでお互いに高め合えたら最高ですね。
個人的に、のらりくらりが好きなので、今はまだそこまで考えていないんですけど、イベントが始まる頃には勝手にテンションが上がっているんだろうなって。きっと、このツアー楽しくなると思いますよ。
参輝
エンターテイナーとしてお客さんを喜ばせるのはもちろん、僕は、うち以外の3バンドの聴きたい曲が聴ければいいなって。vistlipは「SINDRA」、BugLugだと「ギロチン」、R指定は「暗い日曜日」、これが聴ければこのツアーはいいかなって思います。逆に、みんなからリクエストがあれば己龍は何の曲でもやりますし、他のバンドのコピーも演奏するので、早急に同期のデータとコード進行教えて下さい(笑)。
取材・文●水谷エリ

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