INTERVIEW

黒崎 眞弥(己龍) x 一聖(BugLug) x マモ(R指定) x 智(vistlip)

 
 
皆さんを前にして言うのも何ですけど、今回のイベントは本当に豪華メンツが集まりました。
一聖
いやー、ほんとに嬉しいですね。かっこいいと思えるバンドと自分たちが企画したイベントをやれるなんて、なかなか無いと思うので。
という発言からも分かるように、今回のイベントはバンドが主体となってスタートしたようですね?
一聖
みんなで考えました。去年、BugLugがツアー中にvistlipと福岡で偶然会う機会があって。その足で飲みに行く事になり、このイベントの構想が出たんです。俺がすごく覚えているのは、そのときvistlipが主催ライヴを予定していて。そこにR指定が呼ばれているのに、BugLugが呼ばれていない事に憤りを感じまして。
無視されたとか言ってますけど、してないですからね(笑)。
一聖
そういう冗談から、改めて一緒にやりたいねって事になったんです(笑)。
でも、そういう風に一緒にやりたいねって言っていても、結局は社交辞令で終わるパターンって多くないですか?
一聖
そうなんですよ。だから、それは各バンドのメンバーさんに感謝ですね。色々とやり取りに応じてくれたので。なかなか無いんですよ、メンバー同士で連絡して決まるのって。
そうだね。で、僕がマモに連絡して。
マモ
急にね。
「4マンライヴをやろうと思っているんだけど、どう?」って聞いたら「出る」って答えてくれて。
マモさんが二つ返事でOKを出すなんて珍しいですね?
マモ
俺もこういうイベントを作ろうって思っていたんです。そのタイミングでちょうどこの話をもらったから、いいなって思って。だから、乗り気で返事しました。
それで、あと1バンドはどうするかってなったときに、己龍しかいないだろうって。
マモ
電話しておいてって言われたので、俺から九条に連絡しました。
スケジュールを考えると危ういかなと思ったんだけど。
マモ
そしたら、己龍も乗り気で。「スケジュール空いてるから、是非やりたい」って言ってくれて。
となると、眞弥さんは最初に九条さんからこのイベントを聞いた事になりますよね?
黒崎眞弥(以下、眞弥)
武政がメンバーに、こういうのがあるんだけどって話を持ってきたとき、単純に良いねって思いました。
マモ
しかし、よく集まったなと思います。
みんな、なかなかスケジュールが合わないですからね。
1年越しでの実現だとか?
一聖
そうですね、1年前から企画してました。
各バンドのフットワークの軽さに脱帽です。そして、皆さんと言えば、“次世代の四天王”との呼び声も高いわけですよ。
一聖
四天王という響きは好きですね。何か、強そうだし良いなって。
眞弥
スト2的な?
一聖
そうそう(笑)。
では、その上で、BugLugの強みは何であると一聖さんは考えますか?
一聖
今、バンドとして「希望」というより明確なメッセージ性を持って発信出来るようになった事が、BugLugをやっていてすごく武器だなって。それをメンバー全員が認識した上でお客さんに伝えられる努力をしているので、強みというとそういったところですね。
BugLugはお客さんを巻き込む力がすごいですからね。
一聖
ただ、ここにいるバンドみんな、お客さんに伝える事がうまいんですよ。
確かに。ライヴではファンに「お兄ちゃん」と呼ばせているバンドもいますし。ねぇ、お兄ちゃん?
マモ
そうですね(笑)。うちの強みっていうと、何でもありなところじゃないですか。良い意味で、キャラクターを守っていないというか。だから、怖いものはないです。
他の3バンドにも余裕で勝てるぞと。
マモ
うーん、まぁでも、強いですからね。だって、四天王のヴォーカルですよ。勝てるかって言われたら、分からないです。智なんて人間が怖いですから。ほら、嫌なオーラを発しているじゃないですか(笑)。
何言うんだよ(笑)。でも、それぞれのバンドに強みってあると思うんです。だから、今マモが言った「勝てるか分からない」っていうのもすごくよく分かる。ただ、4バンド並べてみて思うのが、共通点として、ライヴでの爆発力や、ファンのみんなに何を伝えるか何を見せるかっていうのが明確になっていると思うので、そういうところはそれぞれの武器なのかなって思いますね。
中でも、己龍は異色な感じがします。
眞弥
うですね。ただ、うちの強みはファンの一体感だと思うんですよ。あくまで僕らはみんなの持っている力を引き出しているという、ある意味、引き立て役的なものだと僕は考えているので、すごいのは僕らじゃなくて会場にいるみんななんじゃないかなと。
このツアーでは、各バンドのファンの方が一堂に介するわけですから、いつも以上に素晴らしい光景が見られる事でしょう。
一聖
こんな4バンドが集まって、こうしてヴォーカル同士がインタヴューしているのだから、自分の好きなバンドだけ観て帰ってしまうというのは、もったいない。自分がファンだとしたら全部観ますからね(笑)。きっと、それぞれにイベントでしか見せない顔っていうのがあると思うんです。そういった意味でも、ワンマンとは違って楽しいんじゃないかなって。それに、バンド同士が触発されて、そのときにしか出せないパワーを出してくると思うので、どの会場でも各バンド見逃せないんじゃないかなと思いますね。
飛び道具がたくさん出てきそうです。イベントと言えば、BugLugは「ギロチン」が欠かせませんが、今回のツアーでも演奏しますか?
一聖
そうですね、やると思います。むしろ、歌って下さい。
マモ
あ、じゃあ(笑)。でも、俺「骨」が好きなんですよ。
一聖
カラオケ一緒に行くと歌ってくれるんです(笑)。
マモ
そういうのやりたいな、このイベントで。
一聖
みんな何て言ってました?
セッションですか。皆さん、「やるならば」という感じでしたね。
一聖
あぁ、なるほど(笑)。
是非やっていただきたいです。セッションをやれば、メンバー同士の距離もグッと縮まりそうではないですか?
一聖
俺もそうですけど、人見知りなメンバー多いですからね。だって、俺が眞弥くんと喋るようになったのも、つい最近の事なので。印象としては、すごくヴィジュアル系が好きなんだろうなって。
眞弥
ヴィジュアル系が好きじゃないと、己龍のようなバンドはやれないですね(笑)。
聞くところによりますと、一聖さんは元々、そこまでヴィジュアル系が好きではなかったとか?
一聖
最初はそうですね、メイクをしている男性は怖いっていうイメージがあって。でも、曲を聴いてみて衝撃を受けたというか。そこから一気にのめり込んだ感じです。
今となってはどっぷりとヴィジュアル系ですからね。智さんがヴィジュアル系バンドをやる上で貫いている事ってなんですか?
単純な例で言うと歌詞ですね。バンド組むときに言ったんですよ、「俺が全部の歌詞を書く」って。
マモ
俺も一緒ですね。
マモさんはR指定のほとんどの楽曲の作曲、そして全ての歌詞を担当していますからね。
マモ
他のメンバーに言いましたからね、「とりあえず俺についてこい!」って。
それは、なかなかだね。
マモ
「もし売れなかったら俺に文句言ってくれ」って(笑)。
ちょっとかっこいいじゃん、それ。
智さんも言ってみては?
えっ、うちのメンバーに? 普通に文句言われますよ(笑)。
ちなみに、ヴォーカルだけでの食事会などはこのツアー中に開催されそうですか?
一聖
どうなんだろう。やったとしても、このメンバーだと30分前に予定が決まると思いますよ(笑)。
マモ
ヴォーカルは気まぐれが多いので。行くって言っても行かないし。
ご自分の事ですね。
マモ
そうです(笑)。でも、せっかくなのでどこかではやりたいですね。だけど、自分から誘うのは苦手なんですよ。誘いに乗っかる方が得意なので。
眞弥
僕は誘いに乗っかることしかしないです。
じゃあ、一聖やってよ。
一聖
えー、苦手なんだけどそういうの(苦笑)。
それなら、誰かが先にバーに行って飲んでいて、寂しいなと思って1人ずつ呼んでいくっていう感じでいいんじゃないですか。
一聖
召喚するんだ(笑)。
あ、でも、僕は眞弥くんの電話番号知らないですね。
眞弥
僕も知らないです。
召喚できないではないですか(笑)。でも、ヴォーカリストって孤高の存在のイメージがあるので、こうして仲良くしているところを見ると微笑ましいです。
一度ステージに立つとバチバチな雰囲気にはなってしまいますけどね。
眞弥
そうですね。オンとオフは自分の中できっちりと使い分けてはいますので、舞台上にいる自分とそうでないときの自分はけっこう違うなと思います。
マモ
ヴォーカリストって普段、色々なものを背負っていると思うんですよ。だから、オフになると大人しい人が多い気がしますね。
やはり、このシーンを変えていかなくてはならないという重圧を感じますか?
一聖
それはありますね。あと、率直に言うと、シーンを活性化する為に、このイベントがあるのかなって。シーンを動かすというのは、1バンドだけで成り立つ事じゃないですからね。そういった中で認め合ったバンド同士で何か1つの事を進めるっていうのは最近だと無かった事だと思うので、既に有意義なイベントになっていると思うんですよ。
でも、これが周りの大人たちが企画した事だったら、ここまで皆さんのやる気は見られなかったかもしれませんね。
一聖
うん、そうですね。大人から言われるとね(笑)。そういうのが無いからこそ、初期衝動や純粋な気持ちでこのイベントが成立しているんだと思います。
眞弥
一聖くんの言ったとおりだと思います。1つのバンドだけでどうにか出来るっていう状況じゃないですよね、もう。だから、こういった機会で何かが変わっていくという兆しがやる前から見えているし、やった後には何かが変わっているんだろうなという感じが見受けられるから、今から楽しみですね。
独り立ち出来そうになるとみんなイベントに出なくなったりするんですよね。やってもツーマンとか。そうなると自分たちの世界にこもってしまうというか、狭い中でいかに上を目指すかっていうところになってくると思うんです。でも、そういうのこそがシーンの衰退に繋がってくると思うんですよね。気が付いたらぬるま湯に浸かっていたという。だからこそ、こういうイベントを通して1つの事をやるっていうのはシーンの活性化にもなるのかなって。やっぱり刺激が必要だと思うんですよ。最終的には自分のバンドを1番上に持っていくっていう野望がそれぞれあるにせよ、そういった意志を持ったバンドが集まったっていうのは大事な事かなって。
マモ
うちとBugLugと己龍は3マンとか普通にやりそうじゃないですか。そこにvistlipが乗っかってきたっていうのが意外な感じなんですよね。それだけに期待も大きいと思うし、自分がバンドをやっていなくてファンだったら絶対に観に行きます。
この4バンドなら確実にシーンを活性化してくれる事と思います。ただ、R指定は今のところ、メジャーには行きませんと宣言していますよね?
マモ
どっちみち、ヴィジュアル系ってアングラだと思うんですよ。だから、万人受けしなくてもいいのかなって。それこそ、黄金期と言われた当時なんて、そういう事を置いても盛り上がっていたじゃないですか。そう考えると、今ってぬるいのなぁって。だから、メジャーどうこうじゃなくて、盛り上がるところまで今の自分たちで持っていきたいなっていうのはありますね。とりあえず、このイベントは、福岡は勝ちに行こうかなと。だって、そこぐらいですからね、勝てるの(笑)。
一聖
そこだけじゃないでしょ(笑)。うちはどうかな、場所によって強いところとかは無いと思いますよ。イベントに限らずいつもそうなんですけど、強いかどうかは自分たち次第なんですよ。ここ強いなと思っても、次に同じ会場行ったら弱いなって感じる事もあるし。
やはり、ライヴは生物なんですね。
そうですね。どこか強いとかうちも無いですね。
眞弥
うちも47都道府県ツアーはやってますけど、特に強いところとか無いですよ。今、一聖くんが言ったように、同じところでも次に行ったら反応が変わっていたなんてよくある事ですし。ワンマンでそうなのだから、イベントは尚更。だから、一概に僕たちはこの場所は負けませんって言えないですね。
マモ
しかし、47都道府県ツアーとかすごいですよね。
眞弥
楽しいですよ。
皆さんもいかがですか?
マモ
覚醒すれば楽しそうですけどね(笑)。
そうそう、今回のイベントで気になるのが各バンドのヴィジュアル面です。今出ている写真とはまた違ったスタイルがここでは楽しめるのではないかなと?
マモ
そうですね、今の格好からは変わっていると思います。それが好きだからヴィジュアル系をやっているんですよね。みんなもそうじゃない?
うん。
マモ
眞弥くんの今の衣装、色々と装飾が付いているじゃないですか。俺、こんなに付けて歌えって言われたら集中して歌えないと思います。
眞弥
あはは(笑)。
うちはけっこうカジュアルですね。既製品を海がいじったりしたのを着ているので。
一聖
うちはそのとき出す曲に合わせてガラッとヴィジュアル面を変えているので、個々の着たい物というよりは曲を考えての事なので、R指定と同じように、今の写真とは違った服装になると思います。
己龍も衣装は変えてきますか?
眞弥
どうなんでしょうね。
でも、バンドコンセプトから大きく外れる事はないですよね。タンクトップに短パンとかタブーではないですか。
眞弥
あ、でも、やってみたいって気持ちはありますけどね。それを着てどれだけ動けるかっていう(笑)。
一聖
ちょっと見たいけど(笑)。
月並みの質問ですけど、このイベントでセッションをやるということは?
一聖
ファンからしたら、各バンドのメンバーがシャッフルされているのって最高ですよね。だから、どこまで、この4バンドのヴォーカルが優しいかっていうのが試されますよね。
皆さん次第だと(笑)。でも、一聖さんはファンに優しいじゃないですか。
一聖
でもなぁ、望まれるとやりたくないんですよ(笑)。こう言っては何ですけど、この4バンドで集まる事が出来ただけで価値があるというか。だから、ファンを喜ばすのはもちろん、まずはこのイベントを成功させる事がバンドにとって大事なのかなって。
うまく行けば、第2弾もありそうですか?
一聖
それはもちろん。夢は大きくなので、4バンドでデカイとこやって、またそれぞれがデカイとこでワンマン出来るようなイベントになったらいいなって思います。
マモ
まずは第1弾をやってみないと分からないですけど、続きもやりたいですよね。だから、9月26日に新木場STUDIO COASTでやるファイナルで、「来年もやりたいよね!」ってなったらいいかな。単純に自分たちも楽しんで、ファンも楽しめるものにしたいですね。
とりあえず、最終的には東京ドームを目指せばいいんでしょ?
一聖
うん、そういうやつ。
眞弥
でも、無謀な会場でやらかしてみたいですね。自分たちだけのファンだったら出来ないような会場でも、これだけのバンドが集まれば何かが出来ると思うので。
では、海外でもお願いします。
眞弥
いきなり!?
次回、ワールドツアーで(笑)。
眞弥
みんなで行けば楽しそうですよね(笑)。
マモ
面白いな(笑)。
一聖
ありですね(笑)。
そして、ファイナルが東京ドームと。
ワールドツアーなのにファイナルが日本って(笑)。
それは冗談としても(笑)、この4バンドなら不可能な事は無いと思います。
目標は大きく。そうすれば出来ない事はないと思うので。今回もそうですけど、それぞれのかっこいいステージを観れば、こいつらに勝たなくてはいけないという気持ちが出てくると思うので、自然とレベルアップしていくと思いますよ。だから、本当に終わる頃が楽しみですね。
均整を乱すだけで終わってしまうのか、それとも、最後に素敵な四拍子が奏でられるのか。そこに注目が集まります。
眞弥
ワンマンもそうなんですけど、僕はツアーって回り出してから目標が立ったりするので、頑張りますとしか今は言えないですね。具体的なものはやりながら見えると思うので、頑張っていこうと思います。
マモ
4バンドとも仲が良いけど、お互いが刺激し合えるっていうのがイベントの良いところだと思うし。あとは、ファイナルぐらいで終わりたくねぇなって思えるようなツアーに出来たらいいなって思いますね。
4バンドが揃ってみて思ったのは、自分たちの予想以上にファンから期待されているんだなっていう。だからこそ、このイベントで戦う事が出来るっていうのはすごく嬉しいですし、最終的に得るものは得ていこうかなと。あとは、ファンのみんなが喧嘩する事なく楽しんでくれたらいいなって。
一聖
この4バンドでせめぎ合ってファンを楽しませる、そして自分たちも楽しむっていうのは当たり前なんですけど、外側に発信すべきもこの4バンドだと思っているので。例えば、BugLugはあまり好きじゃないけど他のバンドが好きだから観に行こうっていう子や、どうせこのバンドはこういう感じでしょってイメージだけで終わらせている子もいると思うんです。だから、このイベントに来てくれた子たちが、とんでもないイベントだったっていう風に思ってくれるよう、そして来られなかった子たちには改めてこの4バンドに目を向けてくれるようなすごいイベントにしたいなって。シーンの常識をこのイベントを通して自分たちが壊していこうと思います。
取材・文●水谷エリ

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